Nシステム

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ハイテクサイバーポリス102号
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開通前の高速道路で見つけたNシステム

Nシステム(えぬしすてむ)は、日本の道路上に警察が設置している、自動車のナンバープレートを読み取る装置である。 「Nシステム」のNは「ナンバープレート」のNが由来。1987年から設置が始まった。 速度違反の車両のみを撮影するオービスとは全くの別物で、Nシステムの方が設置数は多く、通過する全ての車両を撮影して、ナンバーを記録している。 車両がNシステムの下を通過した瞬間に、事前に登録しておいた盗難車両や手配車両のナンバーと照合され、 一致すると近くの警察署やパトカーに通報が入って追跡・逮捕となる。 また後から記録を検索して重大事件の捜査に使われる。 撮影・照合・記録の「システム」全体を指してNシステムと言われることもあり、この場合路上の装置は「N端末」と呼ばれ区別される。

設置場所

 
高速道路のNシステムマップ 近畿・中京版

やはり誰でも普通に考えるように、東名・名神等の大動脈には定期的に設置されている他、都道府県の県境付近の幹線道路にはかなりの割合で設置されている。 大抵は人口の少ない県側にある。これは1つの県境でもそれぞれの県警にとって重要度が違う事が現れている。 県庁所在地の境界付近にも設置される事が多い。

近くにオービスがあることもあるが、必ずと言って良い程手前にNシステムがあり、その先にオービスがある。 Nシステムをオービスと勘違いさせて、その後安心して加速した所を撮影する狙いがあるものと考えられる。 Nシステムは、必ず全車線(高速道路では路肩も)をカバーしており、また両方向に設置されていることが多く(片方向にしか設置されていない事もある)、 オービスにはあるアンテナやパトランプが無いことからそれで大体見分けられるが、完全に見分けるには、オービスとNシステムの形状を全部覚えるしかない。

さて、ここまでは手配車両の発見や犯罪捜査という建前に合致しているが、 公安警察の監視用としか説明出来ないような場所にも設置されており、歴史的にはそういう場所から順番に設置されてきた。 例えば反対運動が起きた成田空港や関西空港の周辺に設置されている(泉南市のN、平行する新道には設置されてなくて無駄だから早く撤去しなさい!)他、 原発や核施設(何故か若狭湾は除く)、自衛隊や米軍の基地の周辺にも設置されている。 そしてオウム真理教創価学会(信濃町に近い外苑料金所等)施設の周辺にもあるなど、公安が監視している施設というのが露骨である。

また一度設置されたNシステムは道路工事に伴い数百m程移設されることはあっても原則撤去されることはない。 但し東日本大震災で地震・津波を食らって撤去されたNシステムが出た模様。 だから監視の必要が無くなってもNシステムだけは残っていたり、その場合隣に新しいバイパスが出来ても旧道にだけあったりすることになる。 費用は昔は平均で1ヶ所1億円と言われていたが、最近は安くなった。

設置台数

警察庁設置Nは1986年度末に設置が始まってから、1994年度末までは一定のペースで増殖を続け150ヶ所まで増えた。 しかし1995年度末にはオウム事件が発生、これを受けて一気に340ヶ所になる(泥縄とは当にこのこと!)。 2005年度末には警察庁のNシステムは680ヶ所、更に県警が独自に設置しているNが245ヶ所、 更に更にNに接続しているTシステム(Nモドキ、後述)が225ヶ所あった。

そして2008年度末には警察庁設置Nが830ヶ所だが、何があったのか、2009年度の予算で1498ヶ所にまで増殖した。 勿論県警設置NやNモドキも増殖しているだろうから、それも合わせると2000ヶ所程あることになる。

記録

ナンバーは通過場所、通過時刻とともに一定期間記録され、これには賛否両論がある。 7年前の記録が出て来たこともあるが、単にマークしていた車両のデータを抜き出して保存していただけかも知れないし、本当は何年残るのかは不明。 指紋や逮捕歴のデータを死ぬまで残している警察の事だから、永久保存している可能性もある。 新型のものはフロントガラスにまで赤外線を照射しており、顔写真まで撮っているという疑惑がある。一部では事実のように扱われてるが決定的証拠は無い。 しかし仮に顔写真も撮っていたとしても、容量の関係上警察がマークしている人以外は直ぐに消されると思われる。 Nシステムで得たデータは、捜査で使うことはあっても決して裁判の証拠に出すなと警察内で通達が出ている。

Winnyでの情報流出

WinnyによってNシステムに関する情報が流出したことがある。 1つは愛媛県警で、Nシステムの記録がCSV形式で大量に流出した。 もう1つは警視庁で、そこにはNシステムの全国設置場所(何故か一部の県は除く)は勿論のこと、Nシステムの検索申請書まで入っていた。

インフォシーク八分

1998年5月、インフォシークから突如Nシステム情報サイトが検索出来なくなったこともある。 警察がインフォシークに圧力をかけたものと考えられるが、これはネット上でも殆ど知られていない。

オービスが4種類(阪神高速限定Hも入れると5種類)しかないのに対して、Nシステムは警視庁設置の型だけでも15種類ある。 NシステムのメーカーにはNEC、松下、三菱等があり、各社が競争していることが伺える。 Nシステムの反対運動を続けている一矢の会の総裁浜島望氏はNシステムの外見に名前を付けた。従ってこれは正式名称ではない。

第一世代

1987年のNシステム出現時から設置された一番古い箱型のNシステム。 筐体とは別に15m前に車両検知器があって、それにタイミングを合わせて撮っていた。現在は全部新型に更新されてしまった。

I-A

NEC製。一番古いタイプ。ストロボとカメラ×3。都内に14ヶ所だけあった。1998年から次々と新型に交換されてしまった。

I-B

松下製?全国展開したタイプ。ストロボとカメラ×2。一般道路専用。

I-C

三菱製?全国展開したタイプ。ストロボとカメラ×2(多分)。高速道路専用。

第二世代

1992年から登場。カメラとストロボが分離され、一車線につき3~4個の筐体が設置された。 車両検知器が廃止され、代わりに動画カメラで撮影タイミングを計るようになった。2006年から更新開始。もう全部更新されたのかな。

II-A

一車線につきストロボ、静止画カメラ×2、動画カメラの4点セット。高速にも一般にもある。

II-B

上と殆ど同じだがストロボが大きい。高速にも一般にもある。

II-C

三菱製。2.5世代とでも言うべきもので、真ん中に動画カメラ(15fps)、両側に明滅式投光器の3点セットで、 上とは違ってひたすら道路を撮影し続け、その中からナンバーを拾う。 一般道路専用。視野が狭いのかちょっと路側帯があれば1つ余分に設置されていることが多い。Tシステムで一回り小さい型もある。

第三世代

1997年から登場。1車線につき筐体が2個になった。

III-A

30fps。明滅式投光器が12or15枚のパネルになっている。一般道路専用。Tシステムで一回り小さい型もある。

III-B

15fps。明滅式投光器が2つに分かれている。一般道路専用。性能が落ちる分安上がりなのか県警設置と思われるNに多い。

III-C

実はこれだけストロボ式。同じような筐体が2つ。高速にも一般にもあるが高速の方が多い。Tシステムで一回り小さい型もある。

III-D

30fps。大きさが違う横長の筐体が2つ。数が少ない謎めいたNシステム。一般道路専用。

第四世代

何年から登場したのか不明だが、少なくとも2004年にはあった。

IV-タテ

III-Bに似てなくもない。高速にも一般にもある。

IV-ヨコ

III-Bとの違いが良く分からない。

第五世代

2006年から登場。とうとう1車線につき機械が1個しかない一筒式になってしまった。 一応これにもバリエーションがあるが今までに比べるとほんの僅かの違いで、近くからよく観察しないと違いが分からない。 現在全国に大増殖中。旧世代の更新も多数。

V-上カメラ型1

上にカメラ×3、下に投光器。

V-上カメラ型2

上にカメラ×2、下に投光器。

V-下カメラ型

上に投光器、下にカメラ×2。

その他

T

別名石塔型Nシステム。料金所の、ブースよりも奥に設置されている。1987年から登場。通行券の為のナンバー認識とは別物。

移動型Nシステム

一筒式。どこぞの交番の屋根に付いていたこともある。

県警独自開発のNシステム

県警が独自に開発したと思われる、そもそもNシステムなのかどうかも分からないような独特の形状のカメラが何種類もある。 特筆すべきは三重県内だけに存在する両方向Nシステム。それを含めて、三重県内には独自の形状のNシステムが3種類ある。 コンパクトなカメラもかなり増えている。

Tシステム

距離をおいて2ヶ所に設置され、同じナンバーが通過する平均時間を計り、「○○に××分」と電光掲示板でドライバーに情報提供する為の装置。 旅行時間を計るかどうかの違いで、やっていることはNシステムと全く同じで、 2005年末の時点で999ヶ所あるが、そのうち225ヶ所は実際にNシステムと一体運用されている。これをNモドキと言う。 外見にもII-C、III-A、III-Cが一回り小さくなったような型が多いが、 松下製の、ストロボ、カメラ×2、車両検知器のようなNモドキ独自の型(これは地方に多い)もある。 全車線をカバーしていなくてもNシステムに組み込まれていることもある等、組み込まれているか否かは外見から判断は不可能。

参考文献

  • 浜島望『電子検問システムを暴く』技術と人間、1998年。- 三途の川の向こうにはシステムは無い。

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